水中映像や水中写真 水中映像を綺麗に映す方法の目安(編集ありきの設定)

水中撮影
カメラ設定の全て
アクションカム・ミラーレス一眼・シネマカメラ
海の中で最高の一枚を撮るための完全設定マニュアル
水中撮影で失敗する
本当の理由
水中写真が「青くてぼやけた写真」になってしまう原因の9割は、カメラ設定のミスです。水中は陸上とまったく異なる光の世界。適切な設定さえ知っていれば、初めてのダイビングでも驚くほど鮮やかな写真が撮れます。
水中撮影の3大原則
アクションカムの
水中設定完全版
GoPro / Insta360 / DJI Osmo — コンパクトで手軽だが設定次第で別物になる
アクションカムは「自動でなんでも撮ってくれる」と思われがちですが、水中ではAuto設定は絶対NGです。特にホワイトバランスと色補正は必ず手動で設定してください。
| 設定項目 | 推奨値 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 解像度 | 4K / 5.3K推奨 | 後でクロップ・安定化に余裕が生まれる。容量より画質優先 |
| フレームレート | 24fps / 30fps | 通常撮影は24/30fps。スローモーション狙いは60/120fps |
| ホワイトバランス | 固定 6500K〜7500KAuto NG | 深度10m以内:Native。それ以上:Watercolour/Dive Mode使用 |
| カラープロファイル | Flat / Log後処理あり | GoPro:Flat。Insta360:LOG。後からColor Gradeが効きやすい |
| シャープネス | Low | High設定は浮遊物のノイズが目立つ。Lowが圧倒的に綺麗 |
| ISO上限 | 最大8001600以上NG | 小センサーのため高ISOは激しいノイズになる |
| シャッタースピード | フレームレートの2倍SS=1/50〜1/60 | 24fps撮影時は1/50s。「180°シャッタールール」で自然な動き |
| 手ブレ補正 | Boost / HorizonLock OFF | 水中はフィンキックで揺れる。Boostより軽いHorizonが安定 |
| フィールドオブビュー | Wide / SuperView | ドームポートなしの場合はLinearが歪みなし。Wide角は近接向き |
| Protune / ProLog | ON必須 | ProtuneオフはGoPro側が強圧縮。必ずONにしてカスタム設定可能に |
| マイク | Wind(風)モード | 水中音・気泡音を軽減。スキューバの排気音が抑えられる |
| バッテリー | 冷水時は2本以上用意 | 低水温でバッテリーは20〜30%劣化する。ドライスーツ内で予熱 |
| メニュー | 設定値 | 備考 |
|---|---|---|
| Dive Mode (WB) | Water / Dive | 専用水中ホワイトバランス。深度〜5mはNative + フィルター推奨 |
| RAW Audio | ON | 後から音声EQ可能。水中ノイズの処理がしやすくなる |
| HDR Video | OFF推奨 | 水中の逆光でHDRは誤動作しやすい。Log撮影で対応 |
| GPS | OFF | 水中では測位不可。バッテリー節約のためOFF |
| BitRate | High | 10bit可能な機種は必ずON。色の諧調が大幅に増える |
| Codec | HEVC (H.265) | H.264より50%データ圧縮。同じ容量で高品質を保持 |
| メニュー | 設定値 | 備考 |
|---|---|---|
| 撮影モード | アクティブHDR | 水中の明暗差に対応。屋外深度5m以下で特に効果的 |
| 360°/シングル | シングルレンズ | 水中ハウジング使用時はシングルモード推奨 |
| AI WB | OFF → 手動5500K | AIが水中ブルーに引っ張られる。固定値が安定 |
| Insta360 LOG | ON | Logで撮影→DaVinci/LUTでColor Grade。劇的な仕上がりに |
| AI Highlights | OFF | 水中では誤検出が多い。手動編集が安定 |
ミラーレス一眼の
本格水中設定
Nikon Z / Sony α / Canon R / OM SYSTEM — ハウジング内でも完全制御できる設定術
ミラーレス一眼は水中写真の主役です。Nauticamなどのハウジングに収め、全ての設定をダイバーの手で完全コントロールできます。ここで紹介する設定は、世界中のプロ水中フォトグラファーが実際に使っている標準値です。
| 設定項目 | 推奨値 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 撮影モード | M(マニュアル)基本 | 水中は露出計が狂いやすい。M固定で安定した露出を維持 |
| シャッタースピード | 1/100〜1/160s | ストロボ同調速度以内で設定。動く被写体は1/200sまで上げる |
| 絞り(F値) | F8〜F11広角 | ドームポート使用の広角はF8が解像ピーク。ポートの端まで解像度を確保 |
| 絞り(マクロ) | F16〜F22 | マクロ撮影は被写界深度を深くする。ただしF22は回折劣化に注意 |
| ISO | 200〜800ストロボあり | ストロボ使用時はISO200〜400。自然光のみはISO400〜1600 |
| ISO上限(AUTO時) | 1600〜3200 | ISO AutoにするならMax 3200。それ以上はノイズが許容外になる |
| ファイル形式 | RAW + JPEG必須 | RAWがメイン保存。JPEGはプレビュー確認用。後処理で色の変化が大きい |
| ホワイトバランス | AWB or カスタム詳細↓ | RAW撮影ならAWBでもOK。ただしJPEG撮影時はカスタム必須 |
水中ホワイトバランスの設定は深度と光の状況によって大きく変わります。以下の深度別推奨値を参考にしてください。
| 深度 / 状況 | 推奨WB | 色温度目安 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 0〜5m(ストロボなし) | 曇り / 日陰 | 6000〜7500K | 太陽光が十分届く。赤フィルター推奨 |
| 5〜20m(ストロボなし) | カスタム WB | 8000〜10000K | 白い被写体(砂・白壁)でカスタム設定 |
| 深度問わず(ストロボあり) | フラッシュ / AWB | 5500〜6500K | ストロボの光源色に合わせる。AWBで自動追従でも可 |
| 夜間ダイブ | 電球 / 3000〜4000K | 3500K | ライトの色温度に合わせる。RAW後処理で微調整 |
| RAW撮影 | AWB(後処理前提) | — | 後から自由に変更可能なので撮影中は気にしなくてよい |
💡 カスタムホワイトバランスの設定法
エントリーポイントで水面に向けてシャッターを切り、その画像をカスタムWBとして登録します。深度が変わるたびに再設定するのが理想。または白い被写体(白い砂・石灰岩・Oリンググリスの白い紙)にレンズを向けてグレーカード代わりに使う方法も有効です。
| 設定項目 | 推奨値 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| AFモード(静止画) | シングルAF(AF-S) | 水中の浮遊物に誤追従しないようシングルが基本 |
| AFモード(動く被写体) | AF-C + ゾーン選択 | 魚・ウミガメ等の動体はAF-C連続追従。ゾーンを中央に絞る |
| AFエリア | スモールゾーン / 点 | ワイドエリアは浮遊物に引っかかる。中央点ピンが水中の王道 |
| 動物認識AF | 魚類対応機種はON | OM-1 Mark II / Z9 は水中生物認識AF搭載。劇的に追従性向上 |
| フォーカスリミッター | 使用するレンズの最短〜2m | マクロ時は最短〜0.5m。AFの迷い時間が大幅短縮 |
| MFアシスト | ピーキング ON(赤) | マクロ撮影はMFが確実。ピーキングで合焦箇所を視覚確認 |
| プリAF | OFF | 水中ではバッテリー消費が問題。事前に合わせてシングル使用 |
| 設定項目 | 推奨値 | 備考 |
|---|---|---|
| ドライブモード | 連写 H(高速) | 魚の動き・波の揺れに備えて連写。後から最良カットを選ぶ |
| 手ブレ補正(IBIS) | ON(ストロボ使用時も) | 水中の流れ・自分の動きに対して有効。シャッター速度に関係なくON |
| 電子シャッター | OFF or 1/2併用 | 純電子は蛍光灯フリッカーに弱い。水中ライト使用時は問題なし |
| 液晶輝度 | 最大輝度 | ハウジング越し + 水中の光で暗く見える。最大設定が標準 |
| ピクチャースタイル | ニュートラル / フラット | 後処理前提ではコントラスト・彩度最低が正解 |
| 測光モード | スポット or 中央重点 | 評価測光は水中ブルーに引っ張られる。被写体スポット測光が安定 |
| 高感度NR | 弱い or OFF | 強すぎるNRはディテールを潰す。RAWで撮ってPC処理が最良 |
| 歪曲補正 | OFF | ドームポートでは歪曲補正が逆効果になる場合あり。RAW保存で後処理 |
| メーカー / 機種 | 特有の設定 | 詳細 |
|---|---|---|
| Nikon Z9 / Z8 | フォーカス輝度ON | 「被写体輝度」設定で低照度の深場でもAF精度維持。Z9は鳥認識→魚にも有効 |
| Sony α7 V / α1 II | Real-time Eye AF | 水中生物の目を認識。「動物認識→魚類」に設定するとハゼ・ウミウシにも反応 |
| Canon EOS R5 II / R6 III | クリエイティブアシスト | 水中プリセット設定可能。C-RAWで容量半減しながら高画質維持 |
| OM SYSTEM OM-1 Mark II | 水中生物認識AF | 魚類・甲殻類・タコ等の認識AF搭載。水中専用ホワイトバランスあり |
| Panasonic S1RM2 | V-Log L | 14+段のダイナミックレンジ。深場の明暗差大のシーンで威力発揮 |
シネマカメラの
プロ水中映像設定
Sony FX3 / Canon EOS C50 / Nikon ZR / RED KOMODO-X — 映像制作レベルの水中撮影
シネマカメラを水中に持ち込むには相応の準備が必要ですが、その映像クオリティは別次元です。映画・CM・ドキュメンタリーレベルの水中映像を狙うための設定を解説します。
| 設定項目 | 推奨値 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 収録コーデック | RAW / ProRes RAW最優先 | 水中色補正の幅が最大。N-RAW(Nikon)/BRAW(RED)/ProRes RAW(Canon) |
| ビットレート | 最高設定(400〜12,000Mbps) | 水中のグラデーション・微妙な青の諧調を保持するため最高ビットレート |
| 解像度 | 6K〜8K(必要に応じダウンコンバート) | 高解像度で撮って4K納品が今の業界標準。手ブレ補正にも使える |
| フレームレート | 24fps(映画表現)/ 48fps(スロー素材) | 水中の動きは24pがシネマらしい。追いかけ撮影は48/60pで後スロー |
| Log設定 | S-Log3(Sony)/ C-Log3(Canon)/ N-Log(Nikon)/ BRAW(RED) | 14段以上のダイナミックレンジ確保。水中の暗部〜明部を全てに収める |
| 色域 | S-Gamut3.Cine / BT.2020 / DCI-P3 | 広色域で収録。後処理でRec.709にコンバート |
| LUT設定 | モニタリングLUTのみ適用 | 収録にはLUT未使用。モニターのプレビュー確認用にLUTを表示 |
| 設定項目 | 推奨値 | 補足 |
|---|---|---|
| シャッターアングル | 180°(シャッタースピード = FRの2倍) | 24fps → 1/48s。モーションブラーが自然な映画的表現になる |
| 絞り | F5.6〜F8 | 動画は被写界深度・光量のバランスを優先。ND使用で開放に |
| NDフィルター | ND4〜ND16(水中ライト使用時) | 強力な水中ライトを使う場合はNDで露出管理。水中用NDポートも展開 |
| ISO(基準感度) | 機種のネイティブISO(800〜3200) | S-Log3はISO800、C-Log3はISO400がネイティブ。ここが最低ノイズ |
| ゲイン増幅 | 最大+6dB(+1段)まで | 水中深場での増感は+6dBが限界。それ以上はノイズが映像品質を下げる |
| ホワイトバランス | 固定(色温度固定) | AWBは動画中に変化するのでNG。エントリー前に固定値を設定 |
| 機種 | 特有設定 | 詳細 |
|---|---|---|
| Sony FX3 / FX6 | S-Log3 + SQ (Standard) | 14+段DR。電子ND搭載(FX6)で絞りを固定したまま露出調整可能。水中で革命的に便利 |
| Nikon Z CINEMA ZR | N-RAW 8K | Nikon独自の圧縮RAW。8K/60p対応。N-Log + HLGで二重バックアップ収録 |
| Canon EOS C50 / C400 | Canon RAW Light | フルサイズシネマセンサー + 4Kクロップなし。水中ハウジング対応のN120ポートシステム |
| RED KOMODO-X | BRAW 6K / IPP2 | BRAW収録でDaVinci Resolve完全統合。Nauticam NA Komodo-Xハウジング対応 |
| Panasonic DC-S1RM2 | V-Log / Open Gate | アスペクト比フリーのOpen Gate収録。後からリフレームが自由。14+段の広DR |
🎬 プロが実践する現場ワークフロー
① エントリー前:WB固定・ISO設定・NDフィルター選択 → ② 浅場でWFB確認・露出テスト撮影 → ③ 深場移行後に露出再確認(+1〜+2段必要な場合あり) → ④ エキジット後:SDカードコピー2枚以上 → ⑤ DaVinci Resolveでカラーグレーディング(水中LUT適用)
シーン別 設定
クイック早見表
ダイブ直前に確認するための早見表です。機種を問わず使える汎用設定値です。
カメラ別
水中性能比較
| 特性 | アクションカム | ミラーレス | シネマ |
|---|---|---|---|
| 携帯性 | ◎ 最軽量 | ○ 普通 | △ 重い |
| 画質(静止画) | △ 小センサー | ◎ 高画質 | ◎ 最高画質 |
| 動画クオリティ | ○ 十分 | ◎ 高品質 | ◎ 映画級 |
| 色補正の余地 | ○ Log対応機 | ◎ RAW収録 | ◎ BRAW/N-RAW |
| AF性能 | ○ 広角固定AF | ◎ 動物認識AF | ○ 動体AF |
| 低照度性能 | △ ノイズ多 | ◎ 高感度強 | ◎ 最高水準 |
| ハウジングコスト | ◎ 安価〜中価 | ○ 30〜120万円 | △ 100万円以上 |
| 操作難易度 | ◎ 簡単 | ○ 要練習 | △ プロ向け |
| おすすめ用途 | 旅行・SNS・初心者 | 本格撮影・競技会 | 商業映像・映画 |
ダイブ前後の
完璧ワークフロー
| タイミング | チェック項目 | 詳細 |
|---|---|---|
| 前日 | Oリング清掃・グリス塗布 | シリコングリスを薄く均一に。過剰塗布は砂粒付着の原因 |
| 前日 | バッテリー満充電 | カメラ本体・ストロボ・ライト全て。ストロボ専用充電器で10〜12時間 |
| 前日 | SDカード空き確認 | RAW撮影は64GB/1時間。128GB×2枚以上を推奨 |
| 当日朝 | ハウジング組み立て→テスト | 水道水に1〜2分浸けて気泡チェック。微小な泡は要注意 |
| 当日朝 | カメラ設定確認 | 前回ダイブの設定リセット。ISOオート上限・WBを確認 |
| エントリー直前 | ハウジング温度均一化 | 水中に30秒〜1分間浸けて、レンズ内外の温度差を縮める |
| エントリー直前 | ストロボ接続確認 | 光ファイバーケーブルの接続・シンクロ確認。テスト発光 |
最高の一枚は
準備から始まる
水中写真は設定だけでなく、機材選び・ハウジング・ポートシステムの知識が組み合わさって完成します。次のダイビングでぜひこのガイドを実践してみてください。
▲ もう一度読むこの記事の内容は実際の水中撮影経験と機材データに基づいています。
設定値は目安であり、実際の撮影環境・機種・ハウジングによって最適値は異なります。

