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USSエモンズ沈船ダイビング完全ガイド2026

USSエモンズ沈船ダイビング完全ガイド2026
Wreck Diving Complete Guide — Amusement World Plus 2026

USSエモンズ 沈船ダイビング完全ガイド2026 USS Emmons DD-457/DMS-22 | 沖縄・古宇利島沖 | 全長106.2m | 水深40〜46m
D-Dayと沖縄戦、両方に参加した唯一の艦船のひとつ

1945年の沖縄戦で神風特攻5機の攻撃を受け沈んだ米軍掃海駆逐艦。米国海軍公式記録・一次資料に基づく正確な歴史解説と、レックスペシャリティインストラクターによる現場の潜水ガイドです。

106.2m船体全長
40〜46m水深(最大)
2,050t排水量
254名最終乗組員数
60名戦死者数
2分5機突入に要した時間
⚠️ 上級者専用 | 推奨経験本数60本以上
🤿

執筆・監修:高蜂 泰弘(Takabachi Yasuhiro)

PADIインストラクター #831033 / SDIインストラクター #37525 / レックスペシャリティインストラクター
内閣総理大臣賞受賞 水中カメラマン / フジテレビ・テレビ朝日・日本テレビ・TBS・AP通信・ロイター・読売テレビ 映像提供実績  プロフィール詳細 →

一次資料(米海軍公式記録・NavSource・USS Emmons Association)に基づき、D-Dayから沖縄戦・海没処分・再発見まで正確に解説します。現場を知るレックスペシャリティインストラクターによる潜水ガイドも合わせてご確認ください。

📅 最終更新:2026年6月 一次資料:NavSource Naval History / USS Emmons Association / U.S. Naval History and Heritage Command

まず「よくある誤情報」を訂正する

エモンズに関してはネット上に誤情報が多く流通しています。一次資料と現地調査に基づいて訂正します。

🔍 一次資料による事実確認
船体の向き「ほぼ原型をとどめている」正:右舷(starboard)を下にして横たわっている。2025年現地調査で「急速に崩壊が進んでいる」と確認されている。
特攻攻撃の時刻「4月6日に攻撃」だけの記述が多い正:1945年4月6日午後5時32分。5機が2分以内に連続突入。
艦首の穴「特攻で受けた損傷」という記述正:海没処分の際、僚艦エリソンが艦番号を消すために撃ち込んだ5インチ砲弾の穴。
「魚雷のようなもの」「魚雷が残っている」という記述正:すべて掃海具。DMS転換時に魚雷発射装置は撤去済み。
発見年「2000年発見」という記述正:2001年2月21日、Fathoms Dive ShopのRichard Ruthらが確認。沿岸警備隊の水中カメラ調査は2000年だが、エモンズと確認されたのは2001年。
乗組員数「234名」または「208名」という記述が混在正:DMS転換後の最終定員は234名(DD時は276名)。沈没時の実際の乗組員数は254名。

📜歴史:D-Dayから沖縄戦まで

エモンズは大西洋から太平洋へ、D-Dayと沖縄戦の両方に参加した数少ない艦船のひとつです。

1940年11月14日

起工 — Bath Iron Works(メイン州)

グリーブス級駆逐艦として建造開始。艦名は米海軍少将ジョージ・F・エモンズ(1811–1884)に由来。出典:NavSource / NHHC

1941年8月23日

進水式

エモンズ少将の孫娘F.E.ピーコック夫人が命名。バス鉄工所にて進水。

1941年12月5日

就役 — 真珠湾攻撃のわずか2日前

初代艦長T.C.レイガン中佐(後に中将)のもとボストン海軍造船所で就役。2日後に真珠湾攻撃が起こる。

1942〜1943年

大西洋での護衛・哨戒任務

南米・アフリカ・アイスランド・北大西洋で護衛任務を遂行。1942年11月には北アフリカ侵攻「トーチ作戦」にも参加。「損害も死傷者もなく全大西洋・地中海作戦に参加した」と記録される。

1944年6月6日 — D-DAY

ノルマンディー上陸作戦(オマハビーチ・Fox Green Beach)

オマハビーチのFox Greenセクターに配置され、5インチ砲873発・40mm砲1,014発を発射。乗組員の証言によれば「バンカーを移動するドイツ兵が見える距離まで接近した」という。出典:destroyerhistory.org / WayfarerDave's

1944年8月

南フランス上陸作戦(ドラグーン作戦)

地中海での南フランス上陸作戦にも参加。大西洋・地中海の主要な上陸作戦のほぼすべてに関与した。

1944年11月〜12月

掃海駆逐艦(DMS-22)への改装

ボストン海軍工廠にて6週間で改装完了。艦尾の5インチ砲(4番砲)・魚雷発射管を全撤去し、掃海具用の大型ウインチ・リール・各種掃海装備を搭載。乗組員数は276名→234名に変更。改装完了は12月18日。出典:Brett Eldridge / Wrecked in my rEvo(2025年6月一次調査)

1945年4月6日 午後5時32分

神風特攻5機の連続突入

伊江島北東沖にてロッドマン(USS Rodman DMS-21)と哨戒中、日本軍「第一次航空総攻撃」の標的となる。弾薬が底をつくまで戦い続け、6機を撃墜したものの、残る5機がわずか2分以内に連続突入。3番砲塔付近の弾薬庫が誘爆し大爆発。乗組員60名死亡・77名負傷(254名中の約半数)。出典:U.S. Navy Unit Commendation公式文書 / destroyerhistory.org

1945年4月7日 午前3時

僚艦エリソンによる海没処分

乗組員救助後、旗艦エリソン(USS Ellyson)が5インチ砲弾96発を発射して海没処分。艦首の大きな穴はこのときの砲弾痕と艦番号を消すための射撃による。同日、戦艦大和も沈没。

1945年(沈没後)

バトルフラッグの救出

攻撃中、乗組員Edward Tostanoski Sr.がバトルフラッグとコミッショニングペナントを救出・保存。後にUSS Emmons Associationに寄贈、専門家による修復保存が完了。出典:USS Emmons Association(ussemmons.org)

2001年2月21日

再発見

Fathoms Dive ShopのRichard Ruthら米国人ダイバーチームが確認。以後ダイビングポイントとして知られるようになる。出典:ussemmons.org / justgottadive.com

2010年前後〜

特攻機の機種・部隊名の解明

沖縄在住のテクニカルダイビングチーム「No Limit」代表・近藤正義氏の調査により、船尾付近のエンジンが九八式直接協同偵察機(宮崎県・新田原陸軍飛行場出撃)のものと特定。朝日新聞ほか全国紙で報道。

📄 一次資料:Navy Unit Commendation 表彰状(原文抜粋)

"For outstanding heroism in action... fighting her guns valiantly to destroy a group of Japanese suicide planes striking in force on April 6, and downing six of the attackers before five others crashed her in rapid succession, killing or wounding many personnel and inflicting damage which necessitated her sinking."

出典:Secretary of the Navy John L. Sullivan署名 / NavSource Naval History(navsource.org)

📊正確なスペックデータ

正式名称USS Emmons DD-457 / DMS-22(グリーブス級駆逐艦→掃海駆逐艦)
建造所Bath Iron Works Corp.(メイン州バス)
全長348 ft 4 in(106.17m)
全幅36 ft 1 in(11.00m)
吃水15 ft 8 in(4.78m)
排水量2,050トン
最高速力35ノット(65km/h)
主砲(DD時)5インチ砲×4門(DMS転換後は3門、4番砲撤去)
魚雷(DD時)21インチ魚雷発射管×10(DMS転換時に全撤去)
乗員数(DD時)276名
乗員数(DMS転換後)234名(定員)/ 沈没時254名
攻撃日時1945年4月6日 午後5時32分
突入機数・時間5機・2分以内に連続突入(6機を撃墜後)
海没処分1945年4月7日 午前3時 / USS Ellysonによる5インチ砲弾96発
戦死者60名(乗員の約24%)
負傷者77名
現在の所在沖縄県今帰仁村・古宇利島沖
水深(現在)船首部34〜38m / 船尾部・最深部40〜46m
船体の向き右舷(starboard)を下にして横たわっている
現状2025年現地調査で「急速に崩壊が進んでいる」と報告あり(Brett Eldridge, 2025)
再発見日2001年2月21日
受章Navy Unit Commendation(海軍殊勲部隊章)+従軍星章4個

📷写真・画像資料

米海軍公式・Wikimedia Commonsのパブリックドメイン画像と、装備の実物写真です。

①USS Emmons 本艦写真(1942年頃)

USS Emmons DD-457 1942年頃 錨泊中 迷彩塗装 Camouflage Measure 12 Modified USS Emmons (DD-457) 錨泊中、1942年頃。Camouflage Measure 12 (Modified)塗装。前部に5インチ砲2門が確認できる。
📄 出典:U.S. Naval History and Heritage Command Photo #: NH 107417 / Wikimedia Commons / パブリックドメイン

②USS Emmons 本艦写真(1943年11月・魚雷発射管搭載時)

USS Emmons DD-457 1943年11月 ノーフォーク海軍工廠沖 魚雷発射管搭載時 USS Emmons (DD-457) 1943年11月、ノーフォーク海軍工廠沖。まだDD(駆逐艦)時代で魚雷発射管を搭載している。翌月DMS(掃海駆逐艦)に改装された。
📄 出典:U.S. Naval History and Heritage Command / Wikimedia Commons / パブリックドメイン

③公式記録画:D-Day オマハビーチでのエモンズ(1944年6月6日)

Battle for Fox Green Beach D-Day June 6 1944 USS Emmons DD-457 ノルマンディー上陸作戦 Dwight Shepler 「Battle for Fox Green Beach, D-Day, June 6, 1944」USSエモンズ(DD-457)がオマハビーチ・Fox Greenセクターで独軍陣地を砲撃する場面。この朝エモンズは5インチ砲873発・40mm砲1,014発を発射した。
📄 出典:米海軍戦闘画家 Dwight C. Shepler作(1944年)/ U.S. Navy Art Collection / Wikimedia Commons / パブリックドメイン

④同型艦:グリーブス級駆逐艦 全体像(USS Gleaves DD-423)

グリーブス級駆逐艦 USS Gleaves DD-423 エモンズと同型同クラス 5インチ砲4門 魚雷発射管 グリーブス級駆逐艦のネームシップ USS Gleaves (DD-423)。エモンズ(DD-457)と同型・同クラス。艦首〜艦尾にかけての5インチ砲4門の配置・魚雷発射管の位置が確認できる。
📄 出典:U.S. Naval History and Heritage Command / Wikimedia Commons / パブリックドメイン

⑤5インチ/38口径砲(Mark 12)実物 — 海底に眠る主砲と同型

5インチ38口径砲 Mark 12 USS Cassin Young 艦尾 WWII米海軍駆逐艦主砲 実物 5インチ/38口径砲(Mark 12)の実物。USS Cassin Young(フレッチャー級・保存艦)の艦尾搭載砲。エモンズが搭載していた主砲と同型。現在も同じ砲が沖縄の海底に沈んでいる。
📄 出典:Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

⑥21インチ五連装魚雷発射管 実物 — DMS転換時に全撤去された装備

21インチ五連装魚雷発射管 USS Cassin Young WWII 米海軍駆逐艦 実物 21インチ五連装魚雷発射管の実物。エモンズはDD時代に同型の発射管を2基(計10本)搭載していたが、1944年11〜12月のDMS転換時に全撤去された。現在エモンズの「魚雷のように見えるもの」は掃海具であり、魚雷発射管は沈没時には存在しない。
📄 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン

⑦40mmボフォース連装対空砲 実物 — 神風特攻6機を撃墜した砲と同型

40mmボフォース連装対空砲 WWII 米海軍 USS Cassin Young 実物 40mmボフォース連装対空砲の実物(USS Cassin Young搭載)。エモンズが1945年4月6日の特攻戦闘で6機を撃墜した対空砲と同型。その後5機が突入した。
📄 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン

⑧水中写真(順次追加)

🔫5インチ主砲(前部)/ 写真追加予定

5インチ主砲(前部)

艦首付近に残る38口径5インチ砲。約45度の仰角を向いたまま現存。サンゴに覆われながらも砲身の形状が明確に残る。

水深 約36〜40m
✈️九八式直協機エンジン / 写真追加予定

九八式直協機エンジン(特攻機)

船尾付近に残る旧日本軍特攻機のエンジン。プロペラが高速回転のまま突入したため両端が内側に折れ曲がって現存。現在は花が供えられ祠のようになっている。

水深 約42〜45m
⚙️掃海ウインチ / 写真追加予定

掃海ウインチ

DMS転換の証拠である大型ウインチ。「魚雷のように見えるもの」はすべてこの掃海具であり、魚雷はDMS転換時に撤去済み。

水深 約38〜42m
💥艦首の大きな穴 / 写真追加予定

艦首の大きな穴

海没処分時に僚艦エリソンが艦番号を消すために撃ち込んだ5インチ砲弾の穴。96発のうちの着弾痕が生々しく残る。

水深 約34〜37m
🪧記念プレーク / 写真追加予定

記念プレーク(水深35m)

USS Emmons Associationが設置した記念プレーク。戦死した60名へ向けてダイバーたちが花を供えていく。

水深 約35m
🐠船体を覆う海洋生物 / 写真追加予定

船体を覆う海洋生物

80年以上を経て船体全体がサンゴ・ウミシダ・ウツボ・ロウニンアジの群れに覆われている。戦艦が人工礁として豊かな生態系を育んでいる。

船体全域

🎯潜るために必要な条件

⚠️
エモンズは上級者専用ポイントです
  • アドバンスドCカード(AOW)取得が事実上必須
  • 推奨経験本数:60本以上(100本以上を推奨するショップが多い)
  • 水深40m台での中性浮力・エア管理が確実にできること
  • ダイブコンピューター必携(NDLが非常に短く、減圧症リスクに常時注意)
  • 流れのある環境での潜水経験があること
  • 爆発物(砲弾・機雷相当物)が現存するため触れること絶対禁止
  • 初めてエモンズに潜る方は前日のチェックダイブを強く推奨
💡
エモンズを目標に段階的にスキルを積む

OW取得→AOW(ディープSP含む)取得→経験本数を積む→レックスペシャリティ取得→エモンズ、という順序が理想的です。当スクールではこの段階を一貫してサポートします。

🔍船体の見どころ

エモンズは前方・中央・後方の3エリアに分けてエントリーします。1ダイブ約20分のため、何度も潜り直すことで全体像が見えてきます。写真は上のセクションに掲載しています。

🙏
エモンズは「墓標」でもある

乗員60名と特攻隊員が今も眠る場所です。水中では静粛に、敬意をもって潜水してください。世界でも稀な「敵対した両国の戦士が共に眠る海底戦跡」に接するとき、ダイバーとしての責任があります。

📋潜水計画・注意事項

項目内容
エントリー方法ボートダイビング(古宇利島港から約20分)
潜降方法設置されたブイのロープを伝って潜降
エリア分け船首側・中央部・船尾側に分けて各ダイブで探索
1ダイブの時間約20〜25分(深度による減圧症リスクのため短時間)
1日のダイブ数2ダイブ
水面休息時間90分以上
エア残圧残圧50barを切る前に浮上を開始
🚫
絶対に守るべき注意事項
  • 爆発物(砲弾・機雷・掃海具に見えるもの)には絶対に触れない
  • 遺骨・遺品・武器等は一切持ち出し禁止(米軍艦として法律による保護対象)
  • 船内への無断侵入禁止
  • 特攻機エンジン付近の祠には供えられた花等を荒らさない
  • 北風・時化時は中止(開催可否は当日朝に確認)

📍アクセス・ベストシーズン

出発拠点古宇利島港(沖縄県今帰仁村)
那覇からのアクセス車で約90〜100分(名護IC経由、古宇利大橋を渡る)
ボート移動時間古宇利島港から約20分
ベストシーズン4〜10月(南風が安定する時期)
開催不可条件北風・時化・波高1.5m超は中止(南風の穏やかな日のみ開催)
透明度15〜30m(季節・海況による)
水温22〜29℃(冬はウェットスーツ5mm以上を推奨)
🗓️
開催可否は当日の海況次第

エモンズは「南風で海況が穏やかな場合のみ」開催できるポイントです。スケジュールには必ず予備日を設けてください。当スクールでは当日朝に海況を確認し、開催可否をご連絡します。

よくある質問

Qアドバンスドを取ったばかりでも潜れますか?
Aアドバンスドは必要条件のひとつですが、それだけでは不十分です。水深40m台での経験本数・中性浮力・エア管理・流れへの対応など総合的なスキルが必要です。まずチェックダイブで現在のスキルを確認し、段階的に経験を積んでからエモンズに挑戦することをおすすめします。
Qエモンズは本当に「急速に崩壊が進んでいる」のですか?
Aはい。2025年6月に実施された現地調査(Brett Eldridge)では "rapidly starting to fall apart"(急速に崩壊が進んでいる)と明記されています。「今がまだ見られる最後のチャンスかもしれない」という認識で潜ることをおすすめします。
QエモンズはD-Dayにも参加したのですか?
Aはい。1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦(D-Day)において、オマハビーチのFox Greenセクターで5インチ砲873発・40mm砲1,014発を発射しています。大西洋のノルマンディーから太平洋の沖縄まで参加した数少ない艦船のひとつです。
Q水中カメラの機材はどれがおすすめですか?
A水深40m台は光量が少なく色が失われやすい環境です。水中ライトの持参は必須です。RAW撮影に対応した水中ハウジングシステムとワイドアングルレンズがあると船体の全体感が出ます。機材選び・設定についてはアミューズメントワールドにご相談ください。

エモンズへ、ご一緒しましょう

自社チャーターボート「トライデント号」でエモンズへご案内します。初めての方はチェックダイブから。スキルアップのご相談もお気軽にどうぞ。

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